マンスリーイングリッシュサロン 2023年11月 アメリカ(イリノイ州)
公開日:2023年11月13日 最終更新日:2023年11月16日

今回の講師は、アメリカ、イリノイ州出身の Nicholas "Nic" Kapper さん(以下、ニックさん)です。
ニックさんは約22年間日本在住で、瑞穂、刈谷、安城、阿久比で英会話教室を運営している経営者であり
先生です。
今日は、イリノイ州やアメリカの強み、日本の強み、改善すべき点、ご自身の英語教育にかける情熱など、
何度も笑いを誘いながら、また時には会議室内を走り回って熱く語って下さいました。
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ニックさんは日本人の奥様、ニコラ君とミリーちゃんの4人家族、名古屋市瑞穂区にお住まいです。
ニックさんは、アイスクリームやスイーツが好物だそうです。
アメリカに居るニックさんの妹さんには7人の子供さんがいるそうです。
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ニックさんの出身地、イリノイ州が位置するエリアはミッドウエストと呼ばれるそうです。
昔、ヨーロッパから人々は米国の東海岸に到着し、徐々に西方に進んで行きました。その過程では
イリノイ州あたりは西だったのですが、更に西方に進んで行き西海岸カリフォルニア州まで進みました。
こうなるとイリノイ州のエリアは西ではなくなったのでミッドウエストと呼ぶようになったそうです。
イリノイ州ではシカゴが最も大きな町。ニックさんは人口1000人のコーンと大豆畑が広がる田舎で育ったそうです。
その後、ディケーターに移り、ディケーターは人口8万人の中規模都市ですが有名ではないので、他の人に言う時は
分かりやすようにシカゴ出身というそうです。
日本人が外国人に岡崎出身というよりも東京出身と言う方が分かってもらいやすいのと同じです。
西尾や岡崎を田舎と言う人もいるが、ニックさんにとっては、西尾や岡崎は大きな町だそうです。
リンカーンはイリノイ州で政治家として活動し、第16代大統領に就任したので、イリノイ州はリンカーンの地とも呼ばれる。
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イリノイ州はブレッドバスケットとも呼ばれ、コーンの生産はアメリカNo.2、大豆生産はNo.1。
それらの全世界でのアメリカ生産割合は、それぞれ30%強なので、イリノイ州で世界のコーンおよび
大豆の約5%を生産している。
ニックさんのお父様は大豆の生産をしておられ、ニックさんが子供の頃に、大豆を消費する
日本に引っかけて、ソイビーンズ(大豆)をジャックビーンズと呼んでいたそうです。
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イリノイ州で生産されるコーンはコーン油やシロップに加工されたり、牛の飼料として使われたりします。
シロップは炭酸飲料に使われるので、日本の我々も毎週何かイリノイ州で生産されたものを飲食している
でしょう。
また、ガソリン価格の高騰に伴い、コーンは安価な自動車用燃料としてエタノールに加工され、
ガソリンに混ぜて使用されます。
イリノイ州に本社を置くADMは世界最大級の農産物加工・食品原料メーカーです。
ニックさんはこの会社で約2年働いたそうです。
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イリノイ州の特徴的なものや著名人。
マクドナルドの第1号店はイリノイ州であり、シカゴに本社がある。
建設機械のキャタピラー、農耕機械のジョンディア、ボーイングもイリノイ州に本社を置く。
ヌートバー選手で日本でもポピュラーになった野球のセントルイス・カージナルス、シカゴ・ホワイト
ソックス、マイケル・ジョーダンで有名なバスケットボールのシカゴ・ブルズなどのスポーツ
チームもイリノイ州。
イリノイ州生まれの有名人は、ハリソン・フォード、ウォルト・ディズニー、ヒラリー・クリントン、
ミシェル・オバマ、アーネスト・ヘミングウエイなど。
イリノイ州を政治活動の基盤としたのは、リンカーン、レーガン、オバマ各大統領。
マイケル・ジョーダンのことをGreatest Of All Time の文字を取ってバスケットボールのGOAT
(ヤギと同じスペル)と呼ぶそうです。
ニックさんも英語教育におけるGOATを目指しているそうです。
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イリノイ州の人々が話す英語は、言語の専門家により米国の中で最もスタンダードだと
評価されています。
ニックさんは、なまりのある英語を話す中南部の人は先生として雇わないそうです。
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次にニックさんはアメリカがなぜ常に成長し続けるかを説明してくれました。
2009年リーマンショック後に地政学者が述べた記事。
・利用可能な国土の広さと運送能力
カナダ、ロシアも国土は広いが、寒冷地が広く利用困難。中国の7割は砂漠、メキシコは
山脈が物流の利便性を損なう。
・2大洋に囲まれ外からの侵攻を防ぎ易く、また商業、貿易に有利な港がある
・ミッシシッピ川に代表される物流に有益な大河
・幅広い気候と国土により、それぞれの地域で農作物、畜産物が得られる
・資本主義と多様性が成長とアイデアを促進
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インド、アメリカ、ブラジル、欧州、中国も耕作地は広い。緑色は農耕地、茶色は砂漠。
しかし、耕作地が広いだけで良いわけではない。
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この写真は夜間の地球のパノラマ写真。
明るい部分は人が集中して住んでいる所。人が住むのは水があるところ。
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アメリカの大河、ミシシッピ川。オハイオ川とミズーリ川が合流し、ニューオリンズで海へ出る。
この大河は大きさ、流れの速さから物流に極めて有益である。
川はお金をかけて造る必要のない有効な物流手段である。
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次の物流の要は鉄道網。アメリカの鉄道は人の輸送にはあまり使われず、物資の輸送が主である。
最大の鉄道網のハブはシカゴ。カンサスシティも大きなハブとして知られるが、最大なのはシカゴである。
鉄道網によりそれぞれの地域の農産物、畜産物の物流がなされる。
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ニックさんの日本でのヒストリー。最初は2000年に西尾に到着、2002年には知立へ、その後、安城で
20の小学校でALTとして英語教育を行った。20の学校の各学年、各組で同じ授業をして
100回、200回と同じ授業を繰り返すことで、子供たちが理解すること、理解し難いことが分かり
日本での英語教育の進め方が分かった。
さらにその後、豊田市の小学校でALTをし、中学、高校、社会人にも英語を教えた。
2007年にアメリカへ戻り、2010年に再来日。
刈谷で "Eigo Day" 英語学校をスタート、その後安城、瑞穂、とスクールを拡大。
日本人の英語力を向上し、次の世代の人が今の世代より高い英語力を持つようにすることが
ニックさんのゴールです。
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日本の良いところは、人々が自分のことだけでなく他の人のことを考えること。
おもてなし、文化、伝統など。
多くの世界的企業、各地の農産物が日本にはある。西尾はお茶で有名だが、ニックさんはハーゲンダッツ
アイスクリームに緑茶が出てきたのには驚いたそう。
世界一の鉄道システム、高速道路網。
狭いけれど様々な生活に必要な店、ファシリティが身近にあり便利。家も狭いがトイレが近くて良い。
両側が海に囲まれ、国土には新鮮な水が豊富。
安全、銃社会でなく、ドラッグも少ない。ディケーターは人口当たりの犯罪の多さはトップ5であった。
日本でニックさんがかつて財布を紛失した際にそれが戻って来たのに驚いた。
誰かが交番に届けてくれたのだが、こんなことはアメリカでは奇跡だ。
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その他にも、健康的なライフスタイル、確固たる文化。
シャワートイレがあるのも良いところ(笑)。
親切、尊敬、配慮、協力の精神など日本の強み。
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しかし、日本の弱点はグローバル言語である英語が上手ではないことです。
そのため日本人は世界とコミュニケーションをとることが不得手です。
これは技術進歩やビジネスにおいて大きなマイナスです。日本人は英語力向上を図ることが必須です。
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日本の人口は約1億2千万人をピークに減りつつあります。
日本人の人口が減るということは日本語が死ぬということです。
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日本人は英語力を高めなければならない。
日本人は世界とコミュニケーションをとらなければならない。それにはグローバル言語である
英語が助けになる。
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日本は英語力が不十分であるため、アイデアを共有することができず、貿易面では弱い。
弱いトレーダーが出来る手は、より高いお金を払うこと。
技術進歩が遅くなる。長い時間かかって英語を翻訳していては技術開発のスピードが遅くなる。
世界は日本を必要としている。世界とコミュニケーションできる英語力が必要。
でなければ、リーダーシップが取れない。

公演の後は、Q&A でも興味深い話を沢山してくださいました。
日本人の英語力が向上しない原因は、まずはその姿勢。日本語だけで十分と考えてはいけない。
それは昭和の考え、現在は令和。
英語への取り組みの一例として、3か月間絶対にカタカナを話さない、書かない。
それら全てのカタカナを英語にするなど。
シカゴの球場ではホットドッグが名物だが、ニックさんはあまり好きではない。メキシコのタコスの
方が良いそうです。
ニックさん、有益な話、面白い話、笑い、アドバイスありがとうございました。

講演を熱心に聞く参加者の皆さん。参加ありがとうございました。

ニックさんの講演の手伝いをしてくれたデミトリウスさん。
ニックさんのスクールの先生の一人です。12月の ”英語でチャット” のコーディネーターとして
参加してくださいます。来月よろしくお願いします。
(文責 人材育成部会 ボランティア 中野一男)