20240717 第10回地域研究講座を開催しました
公開日:2024年07月23日 最終更新日:2024年07月23日
テーマ「天文16年の竹千代を巡る織田と今川―ゆらぐ通説・ぶれない史実―」
令和6年7月17日(水)、戦国時代研究の第一線で活躍されている、中京大学名誉教授・村岡幹生先生をお招きして、本研究会第10回地域研究講座を開催しました。講演テーマは「天文16年の竹千代を巡る織田と今川―ゆらぐ通説・ぶれない史実―」という、三河に住む者にとっては、実に興味深いものでした。参加者は会員・一般を合わせ実に84名。市外・県外からの参加者もおみえになり、関心の大きさを改めて知らされました。
この日の講義の中心は、人質の竹千代(後の家康)の「略奪事件」についてです。通説(『松平記』『三河物語』等)では、松平広忠が支援を求めるために今川への人質として竹千代を差し出したが、途中田原城の戸田に略奪され、織田に売られたということになっています。しかし、当時の戸田がそんな危険を冒してまで略奪し、何のメリットがあったのか・・・?疑問に思うところです。
講義の中で、村岡先生は「岡部慶度書状写、牧野保成条目写等」など同時代史料数点を使って、通説へのいくつかの矛盾点を指摘されました。同時代史料から考察すると、やはり今川の支援を頼ったことには疑問点が出てきてしまいます。先生は、広忠は一時的に松平信孝を通じて織田信秀に頼り、今川ではなく織田へ人質として竹千代を渡したのではないかと自説を述べられました。
講義後の質疑応答も盛んでした。最後に司会の奥田副会長から「織田と今川に挟まれた家康は、なぜ織田を選んだのか?」という大変大きなふくみを持った質問も出されました。私たちがこの疑問に答えるべく、地元での研究をしてゆきたいと思います。
会長による講師紹介とあいさつ
会場いっぱいの参加者
会長と司会の奥田副会長