20241114第11回地域研究講座を開催しました
公開日:2024年11月16日 最終更新日:2024年11月17日
テーマ「岡崎城に起きた二つの怪異と関連伝承」
第11回地域研究講座が、去る11月14日(木)岡﨑市民会館にて開催され、総勢61人(会員37名一般市民24人)の参加者は、講師本多葵美子氏の熱烈な講義に深く魅了された。
レジメ「岡﨑城に起きた二つの怪異と関連伝承」の内容は、緻密な調査・検証されたもので、添付のレジメ表紙にある「天保十年の怪・本多上総介家来、異獣を討取る」「天正七年の怪・築山殿・信康君の妖怪、現わる」という二つの怪異現象についての講義であった。
内容について簡単に紹介してみる。「天保十年の怪・・・・異獣を討取る」は、実在した本多家家来狭間弥一兵衛は岡﨑城の切り通し(南北二つあったが、現存する南切り通しと考えられる。)を夜五時頃通っていたときの事。当時はうっそうと茂る木々に通路は相当な暗闇であったことが想像出来る。其の時修理中の櫓の足場から「異形のもの」が飛び降り、弥一兵衛と取っ組み合いになり、異形者が逃げようとしたので、一刀両断に切り捨てた。翌朝下男に確認させたところ、犬ぐらいの大きさで人面顔の、猫のような赤毛混じりの尾、猿に似た四つ足には五本の指がある異獣が血に染まっていたとの事。(表紙絵参照)
本多講師は、『天保雑記』(藤川整齋)「本多上総介家来討取候異獣之図」や「近世の矢作橋―日本一長い橋」堀江登志実著、「矢作橋作事記録」など多数の書物からの事例を「史資料編」レジメ附として添え、実在の人物の出会った怪異事件と、その時代の背景、例えば「修理中の櫓」という工事のあったことが、矢作橋作事記録の中の「龍ヶ城天守閣の不思議・天守閣五層目の屋根修理が有り、大工定吉が落ちたとき、奇跡的に助かった」という伝説などの史料を駆使して説明をされた。
レジメと史資料編を合せ、27頁に及ぶ解説に時間も足らず、後編の「天正七年の怪・築山殿・信康君の妖怪、現わる」は、築山殿と信康君の悲哀な出来事と怪異現象のさわり迄で、次の地域研究講座に持ち越す事になった。
講師の本多葵美子氏
レジメ表紙
天保10年(1839)に岡崎城東隅櫓そばの南切通しに現れた異獣~『天保雑記』(国立公文書館所蔵)より画像引用加工されたもの
嶋村会長によるコメント~史料を駆使しての講義に感服、ただ時間が足りず残りは次年度に再び講義をいただくことにしたい~
真剣な表情で聴き入る参加者
会場がいっぱいでした